知的財産権の活用による地域活性化セミナー | 第1部 セミナー : 知的財産の価値の認識から

平成19年11月19日 東北農政局にて行われた
「知的財産権の活用による地域活性化セミナー」 紹介ページ

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第一部 地域農作物とブランド、商標

知的財産の価値の認識から
池袋にある宮城ふるさとプラザ池袋にある 宮城ふるさとプラザ  私が経営する事務所は池袋にありまして、200メートルぐらい離れた所に「宮城ふるさとプラザ」があります。そこで宮城県の農産物などを紹介されているのですが、非常に目立ちます。
 今日の昼食に仙台駅の中で、牛タンを食べたのですが同じものが池袋で食べられるのです。でも、場所によって財産というものは違いまして、皆さんは宮城県に住んでいらして、宮城県の財産を感じないかもしれませんが、池袋にそれがあるというのはすごい財産価値なのです。歩く人々がみんな入っていきます。
 皆さん自分の財産的価値を認識していないこともある、ということが次の話です。

 「宮城」県として宮城ふるさとプラザを池袋に作っていますが、それは単純にみんなを呼び寄せる力があるという話であって、人に譲渡できるものではありません。けれども、この「宮城」を商標登録して誰かに使わせることによって収益を上げることができる。それが財産的活用です。
 財産ということですが、一般に皆さんが財産といわれているものは充分に活用できないものも含まれています。そういったものも含めて活用できる形にするという過程が、この知的財産という過程に含まれている、ということをまずご理解ください。ですから、知的財産というときには「財産という場合には必ず価値あるものと交換できる。」ということをまず考えてください。
 さらに、知的財産は、必ず独占権であるということです。独占権ということは少数の人だけが使えるということです。ということは希少価値がありますので値段を下げなくて済むということです。なぜ値段を下げないといけないかというと、いろんな人の参入で、競争相手がいるから値段を下げることになります。独占権によって競争相手がいなければ、値段は自分で決めることができます。

地域ブランド 地域活性化の有効な手段として「地域ブランド」に注目ということで、「地域ブランド」を知的財産にすると独占権になるということですね。地域活性化の有効な手段としていいましたが、「宮城」ということで、それが別の地域、例えば池袋にあるだけで、大盛況ということです。ですからそれだけの価値があるということを自覚していただきたいと思います。

 そうしますと、一体何処に価値があるのかということが大事になってきます。「発明品」というのは新しいものです。新しい技術がえらいわけです、しかし「商標」は古いものが大事なのですね。
 これも1つのキーワードです。「発明は新しいもの」であり、「商標は古いもの」で昔からあるものが大事。これは絶対的な観念としてあります。
 ですから、言うならば価値のある部分は何処かと考えることがすごく大事です。例えば、紀州といえば和歌山県ですね、そこには「和歌山のみかん」があります。「紀州梅」というのもあります。
 では、「和歌山梅」といって売れるのか? といいますと、
 「紀州梅」といえば売れるけれど「和歌山梅」は・・・
 紀州と和歌山は同じ地域です。けれども「和歌山のみかん」で売れるから、「和歌山の梅」で売れるのかということです。これがブランドの不思議な力ですね。そこは、数学的ではなくて人間の感性に基づいたものです。

 では、他の例で考えてみましょう。
 例えば「三ツ矢サイダー」の「三ツ矢」。アサヒビールの子会社のアサヒ飲料さんが作っています。
 皆さん三ツ矢ビールがあったら買いますか?
 ・・・なんか甘いんじゃないか(会場笑)、そんなイメージをもたれる方もいらっしゃるかと思います。これが商標の不思議な力で、商品とすごく密接に結びついているのですね。
 ですから、数学的に考えるのではなく、皆さんが農産物を考えるときには、その農産物はいったいどういう名前と結びついているのか、それが現代の名前ではないかもしれないし、ある地域の一部かもしれません。そういった価値のある部分が何処かを切り出すということです。この過程を甘く、または妥協してしまうと財産的価値というものがなくなってしまいます。