知的財産権の活用による地域活性化セミナー | 第1部 セミナー : 地域ブランドの確立による日本農業の復活・発展

平成19年11月19日 東北農政局にて行われた
「知的財産権の活用による地域活性化セミナー」 紹介ページ

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第一部 地域農作物とブランド、商標

地域ブランドの確立による日本農業の復活・発展
 財産とは何か。知財とは何か。
 知的財産とは財産の一種です。皆さんが財産と思っていても自由に活用できない、また自由に差し止めができない、というものを権利に変えるシステムの1つなのです。
 知的財産には商標や特許があります。商標は古いものがえらい、特許は新しいものがえらい、ということです。ことわざに「古きを知り新しきを知る」というものがあります。これは古いものを一生懸命研究すれば新しいことが出てくるという考え方ですが、逆もあります。新しい物はいったい何かと考えれば必然的に古いものは何かがわかってきます。
 商標は、価値のあるものはいったい何処かということを考えなくてはいけません。そうすることで、守るべき価値があるのは何処なのかということがわかるのです。
 特許は例えば、チシマザサの栽培ができるということは特許出願ができるわけです。特許というのは新しいアイデアを歓迎する法律です。普通新しいものは異端扱いされます。チシマザサなんて平坦地で作れるわけない。作ったのはまがい品に決まっているという扱いです。けれども、それを受け入れるところがあるということはどういうことかというと、新しいものを作って、競争がない市場に飛び込んでいけるということです。切り込んでいけるということです。だだちゃ豆ですら、ほかの枝豆と競争しなくてはなりませんでした。このチシマザサは競争するところが何処にもなくて、はじめからもう勝っているようなものですね。新しいものを作れば競走する必要がないということです。自分の土地で収穫できる新しい産物をつくることによって、新しい夢を持てるということですね。
 なぜ農業人口が減っていくかというと、夢がない、結局同じものをずっとずっと作って売っていくしかなくて、自分の新しい発想がなにも生かされない、ということが原因のひとつではないでしょうか。
 伝統的な部分を商標で守り、新しい部分は特許で歓迎するということです。この2つの組み合わせがすごく大事じゃないかと思います。それは守りの商標と攻めの商標と全く同じで、守りだけを考えてもいけないし、攻めだけを考えてもいけません。農業知財も、新しい発想だけでやっていこうと一辺倒に考えるのもよくありません。とはいえずっと守りの伝統的な農法だけでやってけるのか、これもまずいところです。古いものと新しいもの全てを守る法律で守りながら奨励していく、古いものは商標で守って、本当の価値ある部分を切り出して大事にし、そして、新しい部分は特許で歓迎するということでよいのです。
 特許が拒絶されても新しい土壌を作ってくことが大事です。そうして新しいものができていきます。わが国特有の地形や気候、土壌などそういったものを生かした新しいものができるとすばらしいですね。
 日本の農業の希少性や重要性について話しましたが、「日本農業は貴重な財産」です。青い鳥は近くにいるといいますよ。身近などこかにあります。まずは皆さんが持っている財産の再認識から始まるということです。その財産というのは、今皆さんが気付かない、周りにある空気や水、太陽の光だとかそういったものということです。その中から守るべきものはいったい何かということを切り出すと共に新しい発想が何処から出てくるかということで、そういった雰囲気を作っていくことがこれからのチャレンジのひとつではないでしょうか。
 いろいろなセミナーで言われていますが、守り一辺倒、攻め一辺倒の内容が多く話されます。しかし、バランスを考える必要があります。これはまさに料理と全く同じです。例えば塩。多すぎれば辛くなる、少なすぎれば物足りないと、ということでバランスが大事です。バランスが大事ということは、経営が大事、経営が大事ということはやりがいがあるということです。つまり決まった公式はないわけです。東北地方なら東北地方特有の味付けがあるように、東北地方には東北地方特有の知財戦略があるということです。東北地方は、例えば、関東地方よりも攻めの部分がちょっと多いということでもよいのです。
 特許でも、例えば鉄鋼会社の特許、ソフト会社の特許など、いろんな会社の特許があります。作る産物に依存します。それぞれの知財戦略は、堅いものをつくっているところは知財戦略も堅いですね。柔らかいものを作っているところは柔らかいです。工業でも自分で作っている産物にしばられながら、それを生かしながらやっているわけです。
 東北地方は、東北地方の特色を生かしたものを作っていけばよいわけです。そのためには、再認識とその自覚を深めていく。これが一番大事で、それが守るべきものです。これらを高めて、そして再生をしていくことが1つのキーワードになるのではないかと思います。そういったわけで、今日の話は、財産、知的財産、それと夢。夢をどうしたらもてるか。最後になりますが今日の話を皆さんから紹介していただき、地元でも生かしていただければと思います。

 今日の話は終わりです。どうもありがとうございました。

正林 真之 弁理士によるセミナーの様子正林 真之 弁理士によるセミナーの様子

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