知的財産権の活用による地域活性化セミナー | 第2部 事例紹介およびパネルディスカッション : 権利の継承で困らないようにするには

平成19年11月19日 東北農政局にて行われた
「知的財産権の活用による地域活性化セミナー」 紹介ページ

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第2部 事例紹介およびパネルディスカッション

権利の継承で困らないようにするには
福井氏
 小野寺さんにちょっとテクニカルな話を、振りたいのですが、
 実は今と同じような話で、要するにJAさんが合併した場合、今、JA鶴岡さんとJA庄内たがわさんは別々ですよね。合併した場合、先ほどおっしゃったことが、もっと強いプレッシャーとして現れると思うのです。
 現実に先ほど正林さんがご紹介した「関あじ関さば」がそうなってしまったのです。漁協が広域合併したために、エリア全体「関あじ関さば」でいいじゃないかと内部で言われるわけですね。非常に困ったことが起こっているわけです。「だだちゃ」についての独占的使用権をJA鶴岡さんは今、結んでらっしゃる。そこで合併したときに、そのような旧来ある権利をどのように継承してやっていけるのか、広域になったときに、それをおそらく広域のJAさんがそれを継承するのでしょうが、なんらかの守る方法というか、何か方法はないものでしょうか。

関あじ関さば関あじ関さば
(大分県漁業協同組合)

小野寺氏
 独占使用権は、基本的に合意形成でできるものなので、プレッシャーに勝てるかという話が一点あります。現在のJA鶴岡、従来の鶴岡ですね、の範囲で限定をさせるというところで文章的な部分できっちり交わしておくこと。これがまず最優先ではないかなと思います。権利の部分では、それで充分守れるのですが、まさに「関あじ関さば」でおきたケースは、プレッシャーに勝てなかったという部分、合併したがゆえに上のほうからプレッシャーをかけられてしまったという点があります。その辺を対抗するには、やはり文書で対抗するのが一番手っ取り早いですし、正林氏がいったように、「人は変わる忘れる死ぬ」ということで、何かの形でしっかり残すという点が大事です。口頭での合意形成については、必ず人は忘れてしまったり、担当が替わるなど、違う形でのプレッシャーが入りますので、合意形成ができる段階で早めに文書で残すというのが一番よいと思います。

福井氏
 田沢さん、そういうところは当然JA鶴岡さんとしても、佐藤さんたち生産者の方々を基本に、一緒に守っていこうという思いを持ってらっしゃるのですよね。

田沢氏
 小野寺さんが言われたとおり、JA庄内たがわさんは、JA鶴岡より大きい農協です。やはり相当のプレッシャーはあります。しかしJA鶴岡なり、それ以前に、「だだちゃ豆を愛する会」であったり、白山の方々は、非常に努力に努力を重ねてここまできました。そこに何もしない所がただ乗りするというのはいけないということが、最初にJA鶴岡の組合長がいっていることです。ですからもし、やろうとするならば、課題をクリアして来たら認めようということなのですね。今はまだまだなわけです。しかし、もし合併になったときにどうなるのかというときは、最終的には生産者が判断するべきものであって、合意という話がありましたけれども、どの線で合意ができるのか、組合員全員のためといったら、広げることがよいのだろうけども、それによって「だだちゃ豆」というブランドは、一般の枝豆に変わったよ、ということになったら大変なわけです。合併になった時には、「関あじ関さば」の話ではありませんが、何らかの形での合意点というのを見つけざるを得ない、プレッシャーは掛かってくるのかなと思います。けれども、鶴岡の努力を十二分に理解をして、それ以上に何倍も努力するという確約がなければ、「だだちゃ豆」を産地ブランドとして守れないということだけは、はっきりしていますので、そこを焦点として合意形成の場面が出てくるのではないかと思っています。